恋涙
体育祭の日の放課後、私は先生のところで二次試験で使うレポートを見てもらいに行った。
昼間の体育祭で先生の顔は真っ赤に日焼けをしていて私は大爆笑してた。
面白おかしく笑っている私とは裏腹に、先生は静かに話し始めた。
「最近、体調どうなの?」
先生が真面目な話をするときは私の顔を見ない。
何か作業をしながら、時々私の顔を見る。
それを私は知っているから、この時先生が何かに気づいているんだって思った。
「なんで?」
「いや・・なんとなく。具合悪かったらすぐに病院に行った方がいいよ・・うん。」
このときの会話をあまりよくは覚えてないけど、先生は私本人の口から病気のことを聞きたかったんだと思う。
「先生、何か知ってるの?」
私はもう秘密があります、みたいな口調で話した。
「いや、何も知らないよ。」
「嘘。」
「大体しか・・・」
「知ってるんじゃない。」
「本当に大体だって。本人の口から聞きたいし・・。」
そんなことを言われても、私は病気のことを先生に言うつもりはなかった。
受験だけでも相当な迷惑をかけているのに、病気のことを言って心配をかけたくない。
余計な心配をかけたくないからストーカーのことだって黙ってるのに。
その日はレポートを見てもらうような状況ではなくなった。