恋涙
ある日、登校して教室に入ると一枚の紙が黒板に貼ってあった。
それは入試担当の先生の変更がある生徒の名前と新しい担当の先生の名前が記されていた。
大体の人が四月に提出した進路に変更がある人だった。
それは自分たちで希望する。
そして希望した人のみ担当の先生が変わるんだ。
だけど、そのリストの中に私の名前があった。
四月から担当の先生の希望は出してないはずなのに・・・
もちろん担当の先生は佐藤先生じゃなかった。
そのときの私にはそれが何を意味しているのかわからなかった。
どうして希望を出していないのに担当の先生が決まったのか、私は職員室に行って聞くことにした。
職員室に入ると、学年主任の吉村先生が私を呼んだ。
「お前、佐藤先生のことが好きなのか?そういうことに憧れちゃだめだぞ。」
私はその一言で、担当の先生が急遽決まった理由を察した。
「どうしてそうなるんですか?」
私は動揺する気持ちを抑えて冷静に答えた。
「生徒の中で噂があるんだ。佐藤先生の車に君が乗り込むところを見た生徒もいる。それに、放課後よく二人で話しているだろう。」
「確かに私は佐藤先生のことが好きです。でも、生徒が先生をそう思えるくらい信頼して何が悪いんですか?入試のお世話をしていただいていたんですから放課後話すのは当たり前だと思いますけど。車に乗ったのは軽率だったかもしれませんが、具合が悪かったので送ってもらっただけです。」
吉村先生は腕を組んで黙ったままだった。
「もし、吉村先生が本気で私が佐藤先生に信頼以上の感情を持っていると思うなら、しかるべき手段で罰していただいて結構です。」
私の言葉に職員室にいた先生や他の生徒も私に注目していた。
このとき私は教師と生徒の関係が、どれだけの壁を作るのだろうと感じた。