恋涙
小論文を出す約束をしていた日、急に校長先生に校長室に呼ばれてしまった。
校長先生はこの高校に赴任してきて一番最初に喋った生徒が私だと、何かと私に声をかけてくれる。
一年に一回発行される進路の手引きでの校長による文面でも、私のことを紹介していた。
・・・というのも、私は高校二年の時に校長先生に頼んで朝学習をする自習室を作ってもらった。
そこは職員室の隣の会議室で、職員室に行く先生たちがよく通る。
校長先生は先生たちに質問がしやすいようにとその場所を提供してくれた。
それ以来、私の成績が気になるようで毎回担任の先生に成績の向上の様子を尋ねていたらしい。
そんなことを全く知らなかった私は校長先生の書いた文書を見てすごく驚いた。
まぁ余談になっちゃったけど・・・
とにかく、校長先生に呼ばれては行かざるを得ない。
たまたま情報の授業が終わると佐藤先生の姿があって、他の人の目を気にしながら私は先生に話しかけた。
「先生、今日校長先生に呼ばれちゃった。」
「放課後?」
「うん。」
「何か悪いことでもしたの?」
私は先生と話していることを他の人たちがどう思っているのか気になって周りに目を配っていた。
「別になにもしてないよ。」
「まぁ君は優等生だもんね。」
「まぁね。」
「じゃあ、校長先生の話が終わったら寄って。」
「分かった。」
校長先生の話は進路のことだった。
それから、面接の練習。
色んな話をしていると外はすでに真っ暗になっていた。