恋涙

約束の金曜日。


私は検査の結果を聞くために病院へ行かなくてはいけなくなり、学校を遅刻して行った。


検査の結果は本当にもう散々で、このままだったら将来子供が産めなくなるとか、今は爆弾を抱えている状態だとか色々言われた。


ショックでもう学校にも行きたくないって思ったけど、落ち込んだときこそ先生の顔が見たくなった。


電車に乗って、高校の最寄駅で降りて、そこから自転車で学校に向かう。

いつもならすぐに学校に向かう私だけど、この日だけは少し遠回りをして学校に行った。


青空がすごくきれい。

周りにはベビーカーを押した若いお母さんが笑顔で子供に話しかけながら散歩をしている。


そんな光景を見て、私にはあんな幸せは来ないのかな・・・と思った。



この青空の下、きっと笑っている人の方が多くて、私のように死ぬか生きるかで悩んでいる人はどれくらいなんだろうって思うと、だんだん自分が惨めになった。




学校に着いたのは昼休み。


小論文を提出する日だったけど、検査やらで忙しくて小論文を書いていなかった。


教室に行く途中にPC準備室があるから、寄って先生に事情を話した。


PC準備室の前に来て、私は深呼吸をしてドアをノックした。


私、いつもPC準備室のドアをノックする時深呼吸をしてた。

あんな木造の壊れそうなドアでも、その奥に先生がいると思うとなんだかいつも緊張してた。


誰か他の生徒と話してたらやだな、とか、先生一人だけだといいな、とか。




ドアをノックして顔だけを覗かせると、先生は他の生徒と話していた。


「あれ、今来たの?」


コートを着てカバンを持っている私を見ると、先生は尋ねた。


「あ・・うん。小論文、放課後でもいい?」


「あー、今日放課後職員会議なんだ・・・。待っててくれる?」


「えっ・・・」


「都合悪い?」


「いえ、じゃあ待ってます。」
< 240 / 366 >

この作品をシェア

pagetop