恋涙

PC準備室に行くと、先生しかいなかった。


「遅くなってごめんね。会議長引いちゃって・・・。」


「今日何の会議?」


「成績会議。」


「げ・・・」


「今回の成績教えてあげようか?」


「なんで先生知ってるの?」


「だって俺が管理してるんだもん。」


「それ最悪だね(笑)」


「君の今回の成績はねー・・・」


「はぁ!?なんで私の知ってるの?」


「君のは見たから。」


その言葉がちょっと嬉しかった。


自分のことを気にかけてくれていたことが嬉しかったんだ。


「そういえば今日、元気なかったね。」


私の成績をもう一度パソコンで確認しながら先生はふいに話し掛ける。


前にも言ったと思うけど、先生は真剣な話をするとき私の顔を絶対見ないで何か作業をしながら話すからすぐに分かる。


「え・・なんで分かったの?」


「見てたから。」


「いつ?」


「体育の帰りに階段ですれ違ったとき。」


「すれ違ったっけ?」


「うん。」



“見てたから”という先生の言葉にちょっと考えさせられた。


いつもそうやって見ててくれたのか・・・


何百人もいる生徒のうち、ちゃんと私を見ててくれたんだ・・


いつもそうやって心配してくれてたんだって嬉しくなった。
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