恋涙
そんな麗と、もう一人一緒に受験勉強を頑張ってた隣の席のちーちゃんと、その年のクリスマスは学校でささやかなパーティーをやることにしたんだ。
その日は12月25日のクリスマス。
私とちーちゃんは課外があって、課外が終わってから近くのデパートにジュースとかお菓子とかケーキを買いにいった。
教室で自分たちの机をくっつけ合って、その上にケーキを置いて三人でローソクを消した。
生クリームとチョコレートクリームの二種類の小さなケーキが隣合わせにならんだクリスマスケーキ。
三人でお金を出し合って買った安いケーキだったけど、いままで食べたケーキの中で一番おいしかった。
調子に乗って買い込んだお菓子やシャンパンは三人では食べきれなくて、処分するのももったいなくて先生に持っていこうと私が提案した。
紙コップにシャンパンとティッシュにお菓子をくるんで、私と麗で先生のいるPC準備室に行った。
ノックをして部屋に入ると、佐藤先生のほかに数学の佐々木先生もいた。
私がドアから顔を覗かせると、先生がすぐに気づいて真顔で少し驚いたような表情で私を見た。
「どうしたの?」
先生がパソコンから体を離した。
「今ね、クリスマスパーティやってたんだけどお菓子とシャンパンがあまっちゃって。もったいないから寂しい先生におすそわけしにきてあげた。」
「お、それはどうもありがとう。」
先生はお菓子とシャンパンを見て笑った。
「あ、そうだ。願書見てあげるから明日持っておいで。」
私は願書のことをすっかり忘れてた。
麗は私たちの会話を聞かないようにしているのか、佐々木先生にもお菓子とシャンパンのおすそわけをしている。
「あー忘れてた。じゃあ明日持ってきます。」
「うん、じゃあ待ってるからな。」
いつもなら長く話しているけど、このときは麗もいたし、佐々木先生もいたからすぐに帰った。