恋涙

私は自分の病気のこと、今までのこと、そしてこれからのことを先生にすべて話した。


「私ね、いままで先生にずっと病気のことちゃんと話してなかったでしょ?」


「あーうん。具合悪いのはわかってたけど・・・。」


「私、心臓が悪いんだ。正確には心臓の血管。一定の危険レベルを超えると手術しなきゃいけないの。本当は薬でなんとか抑えてたんだけど、副作用がひどくて受験できなくなるから、その間薬を止めてた。」


「え・・・!で、いまは?」


「受験の前日に大きな検査をしてきたの。薬を投与しなかった期間に病気が進行してれば卒業式には出ないで手術を受ける。結果が出ないと何とも言えないけど・・・。」


「そっか・・。でも大丈夫だよ。うん。問題ない。」


先生は絶対大丈夫と何度も言って笑っていた。


案外あっさり言えたことに驚いた。


悩むことなかったじゃんっていうくらい先生があっけらかんとした態度とってくれたから。


だけど、先生本当は私の前で動揺しないようにしてくれたんだと思う。



「受験も終わったんだし、少しゆっくりしな。」


先生は検査の結果が出るまで自分のやりたいこと、やりのこしたこを全力でやれって言ってくれた。



だけどその前に受験の発表もあった。


自分の人生や自分の運命を決める大事な結果がいくつも一気に襲ってくることに、不安もあったし、怖かった。




だけどやっぱり自分を信じることって大切だから、発表までは自分の好きなこと思いっきりやったよ。



でも、やりのこしたことはただ一つ。



先生に自分の気持ちを伝えることだった。







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