恋涙
茨城には二日間滞在した。
その二日間は、結稀と私の過ごした時間を思い返すような時間だった。
私は彼のお墓参りには一人で行くことが多い。
持っていくお花は必ずひまわり。
彼の大好きだった花。
二人が出会ったころ咲いていた花。
彼のお墓の前で私はいつも話しかける。
「結稀、私大学受かったよ。結稀のなりたかった小学校の先生の夢、絶対私が叶えるからね。」
お線香をあげながら私は彼のお墓の前で手を合わせた。
彼が死んで間もない頃は、お墓参りすらすることが出来なかった。
彼がいないことを受け入れることが怖くて、彼の眠る場所に行けなかった。
一度だって彼がいなくなることを想像したことはなくて、きっと十年前に戻って今この状況を自分に話しても絶対に信じないと思うんだ。
結稀には大学合格のこと、病気のこと、そして先生のことを話した。
茨城から帰ったら、大事な検査の結果が待ってる。
もし治療をしていなかった間に病気が進行しすぎていたら卒業式には出れない。
もちろん大学の入学式にも出れないで手術を受けることになる。
周りには平気な顔をしてたけど、内心すごく怖くて、眠れない日もあった。
それでも、彼に話しかけている間は不安なんてなくて、死んだって怖くはないって思えた。
むしろ彼に会えるなら死んでも構わないって思えた。