恋涙
信じる
宮城に帰ってきてすぐに検査の結果が出た。
病院に向かう車の中でも、名前を呼ばれるまでの待合室でも、あと数分でわかってしまう自分の運命に不安を感じた。
自分の体はどこまで悪くなっているのか。
自分が頑張った分だけ、自分がわがままを言った分だけ、私の体は悪くなっている。
卒業式にも、入学式にも出られないのかな・・・
そう考えていたとき、看護婦さんが私の名前を呼んだ。
お母さんと二人で診察室に入ると、医者がしかめた顔で私のカルテを見ていた。
その表情を今でもよく覚えているけど、そのときは本当にその表情からよくない事態なんだと感じた。
医者は私が目の前に来ても何も話をせず、時には首をかしげて私をじっと見た。
「あの・・先生。どうなんですか?」
話を切り出したのはお母さんだった。
先生は今度はお母さんの顔を見て、ため息をついた。
「それが・・・さっぱりわからないんですよ。」
「え・・・何がですか?」
私が問いかける。
「もう奇跡としか言いようがない。」
「は?」
「薬を投与していた時より、今の方が病気が安定している。寛解期に入ったようなもんだ。」
「それじゃ、入院は?手術は?」
「うん、今のところは必要ないだろう。」
すごくうれしかった。
自分の頑張りがやっと認められて、神様がご褒美をくれたんだと思った。
嬉しくて、嬉しくて・・・でもどこかまだ信じきれてない、そんな感じ。
その報告を先生に一番にしたかった。