恋涙

「え、ありがとう。バレンタインのチョコ?」


「そうだよ。手作りなんだから。」


「大丈夫なのか~?」


「うわ、ひどい。ちゃんと事務室にもあげたんだよ。」


「じゃあ毒見は終わってるか(笑)」


先生はそう言って笑いながらチョコの包装をまじまじと見ていた。




「手作りは先生だけだよ・・・。」


私が真剣な顔をして先生の方を見ると、先生は「あ、そう。」とだけ答えた。




卒業まであと少し。



着々と私が先生から卒業しなきゃいけない日も近づいてる。


すごく不安だった。


ずっと、ずっと近くにいて支えてもらっていたから、先生の存在が自分の中で確固たるものになっているんじゃないか、先生がいないと生きていけないんじゃないか。


もし、この先また病気が再発したら、もう先生は支えてくれない。


今度こそ一人で生きていかなきゃいけないって、そう思った。



それでも自分を信じて


未来があることを信じて



いままでたくさんのものを信じて頑張ってきたんだから、これから先ももっともっと強くならなきゃいけないって思った。



自分にだから出来ることを、この高校時代で見つけた。



だから、卒業しても自分の力でやっていけることを信じたかった。




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