恋涙
卒業式の前日。
この日は三年生全員が学校に登校した。
卒業アルバムをもらったり、部活ごとでお別れ会などをしている光景が目立った。
そんな日に私がしていたことは、先生に手紙を書くことだった。
自分の本当の気持ちを直接先生に伝えるのはやっぱり恥ずかしくて、手紙を書いてそれを卒業式の日に先生に渡してもらうように赤間さんに頼んだ。
卒業式前最後の登校。
先生と少しだけでも話したかったけど、先生も部活の方で忙しく、なかなか準備室に戻ってこなかった。
諦めよう、そう思いながらも午後の7時を軽く越していた。
準備室の前で、いろんなことを考えた。
この部屋のドアを何回ノックしただろう。
何度このドアから顔を覗かせて先生を呼んだだろう。
先生はいつもパソコンとにらめっこしていて、私の姿を見つけると笑ってくれた。
二人でお菓子を食べたこともあった。
二人で喧嘩をしたこともあった。
二人で一生懸命受験の書類を書いた。
たくさん、たくさん大切な話をした。
たくさん、たくさん背中をおしてくれた。
そんな先生から、私は卒業する。
そう思うと、自然と涙が出てきて、私は窓から空を見上げた。