恋涙

そしてついに卒業式の朝がきた。

2007年3月1日。


鏡の前で見る自分の最後の制服姿は、今までで一番輝いているような気がした。


そしてどこか寂しくも思えた。


卒業式は三年間過ごした校舎では行われず、高校の近くのホールで行われた。


自分の席に着席すると、麗はもう隣で泣きそうな顔をしていた。


「卒業なんだね・・・。」


麗はずっとそう呟いてた。


一度式場の外に出て、式が始まると私たちはクラス順に入場した。


式場の中は暗くて、ステージの明かりで全体がぼやっと見えるくらい。


開会宣言も終わって、卒業証書の授与が始まった。


全員が名前を呼ばれて立ち上がり、各クラスの代表が卒業証書をもらって、受け取り終わるとステージの上で担任の先生や保護者にお礼の言葉を述べる。


それが感動的で、一組が終わった時点で泣いている保護者も多かった。


そして自分のクラスの五組。


担任の先生が「続きまして五組・・・」と言うと、ステージの横で先生が経っているのが見えた。


真剣な顔をして私の方を見てる。


麗が呼ばれて、次に私が呼ばれた。


「はい。」


名前を呼ばれた私は手をあげて立ち上がった。


先生の方を見ると、先生は気づかれないように小さく拍手をしていた。


本当にいろんなことがあったね。


たくさん泣いたし、たくさん笑ったし。

辛いことも多かったけど、乗り越えた嬉しさも大きかった。


先生がいたからだよ。


これからまたどんな壁が待ち受けていようとも、きっと乗り越えていける。


本当にありがとう、先生。



拍手をおくってくれている先生を見ながら私はそう思った。


頬には涙が流れてた。


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