恋涙

結局私は先生に会えなかった。


悲しいのか、悔しいのかよくわからない気持ちがすごく込み上げた。


戻ってきた私の表情から、麗も私が先生に会えなかったということを察した。


「これから学校行こうか。」


麗が提案した。

もしかしたら先生は学校に戻っているかもしれない。


でもその可能性は極めて低かった。


それでも私はその淡い可能性にかけて、麗と二人で学校に行ったんだ。



だけどやっぱり先生はいなくて、結局事務室で事務員の人たちと写真を撮って私たちは帰ることにした。


卒業式なのに、最後の日なのに、先生に会うことができなかった。



何を伝えられるわけでもなく、私の一年間が終わったような気がした。




悲しかったけど、でもこれでいいのかもしれない。


何も伝えないほうがいい思い出になるのかもしれない。



そう思ったのも事実。


だから今でもそんなに後悔はしてない。



だっていい思い出だもん。



卒業式の日に何も話せなかったのは残念だけど、もしあの日先生に会うことができて私が自分の気持ちを伝えていたら、この一年間が本当に良いものだったって言えるかどうかはわからない。



きっと、本当に進むべき道を神様が教えてくれたんだって信じたかった。




いろんな壁にぶち当たって、たくさん辛い思いもしたけど、楽しい一年だった。



こうして私は無事に高校を卒業することができた。
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