恋涙
咲の「何でそんなこと聞くの?」という問いかけにも答えずに、樹里は「絢香は?」と言う。
浮かんできたのは結稀の顔。
だけど、別に「好き」と思ったことはない。
ただの幼なじみ。
私は「いないよ。」と答えた。
樹里は自分のことを聞いてほしそうな顔をした。
「樹里は誰か好きな人がいるの?」
少し気を遣って質問を投げ返した。
樹里は照れ臭そうにうつむいて笑っている。
咲が冷やかすと樹里は私の方を向いて答えた。
「私、結稀くんが好きなの。」と・・・。