恋涙

大学に入って私はバイトも始めた。


いわゆる高級料亭というところで、接客はそれなりに大変だった。

それでもバイト先で学ぶことは大きくて、出会う人それぞれがいい勉強になるような人たちだった。



病気のことは秋頃には友達にすべてを話してた。


私の病気は胸部大動脈瘤。


自分の病気についてあまり知りたいとは思ってなかったから今でも詳しいことはよく分からないけど、簡単に言えば血管の中にしこりが出来て血液の流れがわるくなる病気。


動脈瘤が破裂すると死に至る可能性が高い病気なんだ。



私は夏休みに入院することになった。


だけどそれすら友達には話さなかった。

それが今でも良かったのかどうかは分からないけど・・・



でも友達に話してからはだいぶ気持ちが楽だった。


大学も休みがちになったりしてたけど、なるべくなら休まないで頑張りたかった。


まだ私はこんなに頑張れるんだよって友達にその姿を見せて心配させたくなかったから。



それは無理じゃない。


私の希望。


だから限界まで自分を甘やかしたくなかった。



病気のこともあまり深刻な話は友達にしたくなかった。


友達から見たら私は私。


友達に「絢香は病気」っていう目で見られるのがとにかく嫌だったんだ。








< 271 / 366 >

この作品をシェア

pagetop