恋涙
私には、樹里が私の反応をうかがっているように見えた。
「私ね、絢香はてっきり結稀くんのこと好きなのかと思ってた。」
樹里が真剣な顔をする。
正直さ、この頃の恋愛なんて「好き」って言ったもん勝ちじゃなかった?
でも私はまだ結稀を「幼なじみ」以上には思ってなかった。
一緒にいるのが当たり前だったから。
小さい頃からずっと一緒だったんだもん。
「好きとか考えたことなかった。だって幼なじみだもん。」
私のその言葉に樹里は「ふーん。」とだけ言った。
幼すぎた私にはまだ早い恋心。
ねぇ、あの時私がもう少し早く自分の気持ちに気付いていれば、誰も傷つけずにすんだんだよね。