恋涙
お昼ごはんを食べて、隣の県までドライブをしてその日のデートは終わった。
再び高速に乗って、自宅から一番近いインターチェンジまで来るとまだ帰りたくないなって思ってる自分がいた。
もう少し、一緒にいたい。
だけどそんなこと言えるはずもなくて、あっという間に自宅に着いた。
「今日はありがとうございました。」
私はすぐに車を降りた。
住宅街のど真ん中。
近所の人の目が気になった。
「あ・・及川さん!」
久保さんがシートベルトを外して私を呼んだ。
「この間電話で言ったこと、本当ですから。」
「え・・?」
「ちゃんと及川さんに会いにお店に行きます。」
もちろん嬉しくないわけはなかった。
だけど、好きになりたくなかった。
付き合う気もなかった。
ただでさえ恋愛に臆病になってたのに、16歳っていう年齢差を受け止めて付き合うなんて無理だと思ったから。
久保さんの言葉に私は少しだけ笑って「失礼します。」と言ってドアをしめた。
久保さんの車が見えなくなるまでずっとずっと見てた。
それから久保さんは本当によくお店に来てくれるようになった。