恋涙
付き合いが始まると、心配していた年齢差はそんなに感じなかった。
それなりに二週間は楽しかった。
仕事が終わって駐車場に向かうと、車のフロントガラスに「おつかれさま」のメッセージカードが置いてあったり、時には待っててくれることもあった。
お互い仕事が忙しくてすれ違いばっかりだったけど、本当に僅かな時間で二人の時間を楽しんだ。
この人となら私は幸せになれる。
そう思うようになっていった。
そしてあっという間に二週間が経った。
その日は仕事の関係で夕方から会うことになってた。
待ち合わせの場所につくと彼は助手席のドアを開けてくれた。
「待ちました?」
「いや、今来たところです。少し走りますか?」
「はい。」
彼はゆっくり車を発進させた。
その車内の空気は少し重かった。
私は二週間の答えを迷わず出していた。
彼と付き合うと・・・。
その答えを早く言いたくて私が口を開こうとしたとき、彼が人気のない道に急に入り、車を止めた。
「及川さん。」
彼は私の名前を呼ぶと、シートベルトをはずして私のほうを見た。
「はい。」
私は少し不思議に感じていながらも彼が何かを話そうとしているその内容を待った。
「結婚してくれませんか。」
その言葉は突然すぎて私にはすぐに理解することができなかった。