恋涙
「え・・・。」
「すぐにというわけではありません。もちろんあなたはまだ大学生ですし、夢もあると思います。でも、それくらい私が真剣だということをわかってもらいたいんです。」
彼が真剣なことがよくわかっていた。
目を見ればわかる。
「それは・・年齢差があるからですか?」
「それもあります。私はあなたが何歳であろうと真剣な気持ちです。これだけの年齢差があれば周りからも色々言われるでしょう。だから結婚するくらい本気な気持ちでないと私たちは付き合う資格なんてないと思うんです。」
彼が言っていることは自分でも何となくわかっていたことだった。
すぐに両親に話せるかと言ったらそうではない。
第一、彼を気になっていたこと自体周りの友達にも言えなかった。
「とりあえず、今日私の家に来てもらえないですか?あなたのことを嘘偽りなく話したい人がいるんです。」
彼はそう言うと、私の返事を聞かずにまた車を発進させた。
彼の家に行くのは初めてだった。
まだ新築のアパート。
外装がとても洋風でかわいらしかった。
彼は車を降りると、助手席にまわってドアを開けてくれた。
車から降りて私がアパートを見上げると、「こっちです。」と言って案内してくれた。
玄関の前までくると、部屋の中の明かりがついているのがわかった。
「誰かいるんですか?」
鍵をあける彼に私は尋ねた。
「両親が実家から来てるんです。」
「え・・!?」
拒む暇もなく彼は玄関のドアを開けた。
部屋の奥から彼のお母さんらしき人が出てきた。
「遅かったのね。あら・・・?」
お母さんは私の顔を見てもう一度彼の顔を見た。
私は軽く頭を下げた。