恋涙
彼と付き合う決断は簡単なものじゃないってこと、自分でもよくわかってた。
でも結婚してもいい人だって思ってた。
今はまだできないけど、二年後、自分が大学を卒業したら・・・
そういう気持ちで彼と付き合う決断をしたんだ。
「私でいいんですか?」
久保さんが私に聞いた。
「うーん・・まぁ久保さんが犯罪だって認めるなら(笑)」
「そうですね。認めます。」
彼のお母さんには内緒で私たちは交際を続けることになった。
順調に交際を続けていた私たちだけど、問題はなかなか会えないことだった。
私は昼は大学に行って、夜は仕事に行く。
彼は平日の休みが多く、私たちはほとんどすれ違いの毎日だった。
会えるのは、彼が接待でバイト先に来たときくらい。
もちろん不安だったけど文句なんて言えなかった。
会社の中でもそれなりに重役の彼と付き合うことはそういうことだって自分も覚悟して決めたわけだから。
だからどんなに不安でも「頑張ってね。」とか、「無理しないでね。」としか言えなかった。
一週間、電話がすれ違ってしまうことも少なくなかった。
私が出勤の時に彼が休みで、私が休みの時に彼は出勤で。
二人の時間が合って一緒にいられるのは月に一回あるかないかぐらいだった。
彼のアパートも私の家やバイト先からは結構離れていたから、仕事が終わってからちょっと寄ろうかなっていうこともなかった。