恋涙
十三章
運命
夏休みも中盤に差し掛かったある夜、仕事を終えるとそれを見計らったかのように彼からの着信があった。
「もしもし。」
「あぁ、俺だけど。」
「うん。」
「大事な話があるから今から来てほしいんだ。」
「うん、わかった。今お店終わったから5分くらいで行けると思う。」
その大事な話が、何のことだか私には全然わからなかった。
とにかく車に乗って彼のアパートに向かった。
バイト先から車で約5分の距離。
何かを考える暇もなく私は彼のアパートに着いた。
荷物は車の中において、私はケータイと鍵だけを持って彼の部屋のドアを開けた。
「きたよー。」
靴を脱ぎながら声をかけると、彼はリビングのテーブルの前に正座をしていた。
ただならぬ雰囲気だということを私はその時感じた。
彼の目の合図で私は彼の目の前に座った。
「で、大事な話ってなに?」
私は怒られることは何もしてないよなって思いつつも、自分が何かやらかしてしまったのではないかと、自分の行動を振り返っていた。
彼は胡坐をかいて斜め下をじっと見つめながら少し呼吸を整えているように見えた。
私は彼が話し出すのをずっと待っていた。