恋涙
「単刀直入に聞くけど答えてくれるか?」
彼の目がまっすぐに私を見た。
私はまだなんのことかわからず、「うん。」としか言えなかった。
「お前は二年後俺と結婚を考えているくらい俺を愛してないよな?」
その言葉にあまりにも驚いた私は返す言葉が見つからず、沈黙は何分も続いた。
最初は驚いて考えることもできず、ただ彼を見ていた時間が数分。
その質問を飲み込んで考え出して数分。
その合計の時間はとても長かった。
その質問が「俺のことを愛してる?」だったら、迷わず答えが出ていた。
でも、二年後彼と結婚するくらいの愛が今自分の中にあるのか分からなかった。
二年後なんて誰にもわからない。
二年後の気持ちが分かる人なんていない。
それはぜったいその時になってみないと分からない。
それを二年後結婚するって言って、もしこれから先に私たちの前を阻む壁ができて別れることになった時、教師になる夢をいつまでも追い続けたいと思った時、その決断はきっと鈍る。
私はこれから社会に出て、いろんな世界を見ていくと思う。
結婚の前にまだまだやりたいこと、やらなければならないことがたくさんある。
結婚はそんなに生易しいものじゃない。
私の身勝手な決断が彼の一生を狂わせてしまうかもしれないって思ったんだ。
そう思うと安易に「うん、結婚考えてるよ。」なんて到底言えなかった。