恋涙
祖父の家に帰ってから、夕方のタローの散歩に出かけた。
靜かに流れる川辺を色んなことを考えながら歩いた。
私の目の前を歩くタロー。
タローがいなかったら、私たちが出会うことは無かったんだよね。
歩くことを止めて、川辺に座り込んだ。
水面が夕陽でオレンジ色に染まる。
それを見ながら、また色んなことを考えた。
「絢香!!」
大きな声に慌てて振り返ると、結稀が手を振って走ってくる姿が見えた。
学ラン姿の結稀が少しだけ遠い存在に感じた。