恋涙

「私、最後まで一緒にいたい。」


私はケータイを切って、二階のベランダにいる久保さんに言った。



久保さんはその言葉を聞くと、部屋の中に入っていった。


そして玄関から出てきて、階段を下りて私の前にきた。


「君が辛い思いをするんだぞ。」


久保さんは私の肩を掴んでそう言った。


「それでもいいよ。今、一緒にいることが私の幸せだから。久保さん、幸せにしてくれる?」



私は涙を堪えて精一杯の笑顔でそう言った。



久保さんはそんな私を見て、少し切なそうな顔をしながら私を強く抱きしめた。


「幸せにする。必ず・・・」


私は彼の腕の中で泣いた。


「泣くのは今日が最後だからね・・・二人で思い出たくさん作ろう。」


そう言って彼の顔を見ると、彼の頬にも涙が流れていた。




私、幸せになる。



例え離れ離れになる運命だとしても・・・




その時本当に思った。



彼と離れたくないと・・・



一生ずっと彼のそばにいたいと・・・



彼と最後まで一緒にいることは、きっと相当な覚悟のいることだと思う。


それでも一緒にいたいと強く思った。
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