恋涙
それから私たちの同棲生活が始まった。


久保さんは朝六時には家を出て出勤するから、それはもう朝早くに起きる。


私は四時半に起きて朝ごはんの支度をして、五時に彼を起こす。


彼が朝ごはんを食べている間に私はお弁当を作って六時に彼を送り出すんだ。



「起きる時間だよー。」


朝ごはんを作り終えた私が寝室に彼を起こしに行くと、布団にくるまってなかなか彼は起きようとしない。


「う・・ん・・あと五分。」


こうなってくるとなかなか起きない中学生の男の子みたいだ。


私はベッドに腰掛けて、彼の体を揺すった。


「もう！早く起きてね！」


寝ぼけながら起きてきた彼はおもむろに朝食が用意されたテーブルの前に座った。


それを確認して私はごはんとお味噌汁をよそって出した。



ご飯を食べ終えると彼はスーツに着替える。


「ネクタイ忘れてるよ！」


玄関に向かった彼に、私は慌てて言った。


「うおっ、危ない危ない・・・」



「全く・・・」


もう靴を履いていた彼は振り返って慌てた顔をした。



「早く帰ってきてね。」


私は彼の首にネクタイを結んであげて、出来上がってネクタイの結び目をポンっと叩いた。


「行ってきます。」


彼は私の頬にキスをして出勤するんだ。
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