恋涙

昼間は家事をやったり、実家とアパートを行き来したりしてた。


その頃からお店に新人さんが入ってきて私はそんなに仕事が忙しくなくなった。


夕方くらいに買い物に行って、夕飯を作る。


毎晩何にしようか迷う・・・なんていう悩みは幸せな悩み。


ごはんを作ってると、少し開けた窓から彼の車のエンジン音が聞こえるんだ。


駐車場に車を停める音。


その音を聞くと嬉しくなって、彼の足音がだんだん近くなって玄関が開くのが今か今かと楽しみだった。



私が台所で料理をしていて、「ただいまー。」って玄関を開けて入ってくるのが楽しみだったけど、彼はいつも玄関のチャイムを鳴らすんだ。



鍵を持っているはずなんだけど、「忘れた。」ってよく言う。


だからいつも私が玄関を開けて、「おかえり」を言うんだ。


もちろん一緒に暮らしていて楽しいことばかりじゃない。


くだらないことでケンカすることも何度かあった。



特に買い物とかかな。

二人とも趣味が正反対だから大変だったよ(笑)



食器とか揃えるのも、家具とか揃えるのも。



まぁ大体久保さんが折れて私の意見が通るんだけどね。


決め手のセリフはこれ。


「あなたがご飯作るわけじゃないのよ。まぁ共働きみたいなものだから分担してくれるならそっちでもいいけど。」



よく買い物の時に出てたセリフ。



この一言を言えば彼も黙って私の意見に従ってた。








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