恋涙
支度が終わって私はベランダのドアを閉めようとした。
下には久保さんが車の前でたばこを吸っている。
「支度できたかー?」
私の姿を見つけると久保さんは大きな声で叫んだ。
「うん、今行くー。」
私は慌てて家を出た。
「ごめん。お待たせ。」
私は急いで階段を下りてきて駐車場の前にいる彼のもとに向かった。
「よし、じゃあ行きますか。」
彼は助手席のドアを開けて、「どうぞ、お嬢様。」と言って乗せてくれた。
「ねぇ、どこ行くの?」
シートベルトを締めて車を発進させる彼に私は聞いた。
「んん?秘密って言ったでしょ。」
運転するときにかける眼鏡姿が私は好きだ。
少し前かがみになって大きい車を運転するのも、私は話しかけるときに久保さんを見るのに、運転中は絶対に前意外見ないあなたも好き。
「ふーん・・・まぁいいけど・・」
私は少し口を尖らせて窓の外を見た。
「なに?むくれてんの?(笑)」
久保さんは左手で私の頬をつまんだ。
「むくれてないもん。」
私は右手で彼の手をはらった。
車は高速道路の入り口まで来ていた。
「高速乗るの?」
「うん。さぁ、どこにいくか当ててごらん。」
その言葉に私は一生懸命考えてた。
何を言っても「はずれ」って言う久保さんは、その言葉を言うたびに優しい笑顔を見せていた。