恋涙
「なぁ、俺本当に心当たりがないんだけど。」
しばらくして結稀が口を開く。
「嘘だよ、結稀は全然関係ないから。別に考え事してるだけで悩んでるっては言っとらんけぇね。」
私が笑うと結稀は目を細くして遠くを見る。
「今年の夏はあんまり遊べなかったな。」
結稀の言葉にちょっと頷く。
「よし!今から俺らの秘密基地行こう!まだあるだろ。」
結稀は私の手を引いて立ち上がり、走り出した。
その後からタローもついてくる。
夏の夕方は涼しくて
気持ちよくて
今でも時々泣きたくなる。