恋涙
日曜日の朝、私はケータイのアラームで目が覚めた。
隣では久保さんがまだぐっすり眠ってた。
ケータイのアラームなんかじゃ起きないんだ。
いつも起こすのに手がかかる。
私はベッドから降りて寝室カーテンを開けた。
あいにく空は曇り空。
私はため息をつきながら久保さんを起こした。
珍しくすんなり起きた久保さんは準備が早い。
着替えて、昨晩のうちに準備していた荷物をあっという間に車に積んでいた。
「早くしろよー。」
これはもう出かけるときの久保さんの口癖なんだ。
私の支度が遅くて、いつも久保さんは私を待ちながら車の前でタバコを吸っている。
その姿をアパートのベランダから見降ろしているのが好きだった。
朝の七時には出ようね、なんて言っておきながら、結局出発したのは七時半過ぎ。
朝ごはんを食べていなかった私たちは高速に乗ってすぐにサービスエリアで朝ごはんを買った。
「ここからどれくらいかかるかな。」
久保さんは設定したカーナビを見る。
「昨日、仕事遅かったから眠いんじゃない?」
前日、久保さんは接待があっていつもより遅く帰ってきた。
二人でベッドに入ったのも日付が変わってからで、私は寝不足気味の久保さんが心配だった。
「うーん。大丈夫。眠くならないように工夫してね。」
久保さんが笑う。
「どういう風に?」
「それを考えてくれなくっちゃ。」