恋涙

予約したホテルまでは約四時間くらいの距離だ。


途中、いろんな観光の名所に立ち寄った。


港や公園、水族館・・・


一緒にいられればどんなところでも楽しかった。


五時近くになって、私たちはホテルについた。


ホテルの前に車を停車すると、スーツを着た男の人と女将さんらしき人が出てきた。


「お荷物、お持ちいたします。」


後部座席から荷物を降ろした久保さんに、女将さんが話しかける。


続いてスーツを着た男性が車のキーを預かり、駐車場に車を運んで行った。


ホテルのロビーは真っ赤な絨毯が印象的だった。


チェックインをすると、担当の仲居さんが部屋まで案内してくれた。


ホテルの部屋は海沿いにあることが自慢のところで、全室が海に面しているらしい。


私たちの部屋は六階のエレベーターの目の前だった。


案内されて部屋に入ると、すぐに海の見える大きな窓が目に入った。


そこはもう、海と空しか見えない。


「うわぁ、すごい。綺麗だよ!」


私は小走りでその窓に向かった。


「うおーすごいな。」


久保さんも私の後ろから窓の外を見る。


その窓の奥は小さなテーブルとイスが二つ置いてあって、外に出れるようになっている。



こんなきれいな海と、大きな空を独り占めしたみたい。


本当にきれいだった。


仲居さんは、外の浜辺もホテルのロビーから行けるから散歩でもいかがですか、と教えてくれた。



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