恋涙
市役所に着くと、久保さんは一緒に車から降りようとした。
「いいよ。一人で行くから。」
私は右手で彼の腕をつかんだ。
その表情があまりにも真剣だったのか、彼は少し不思議そうな顔をしていた。
私は車を下りて、中に向かった。
私が市役所に行った理由は・・・婚姻届をもらうためだ。
私は自分の夢よりも、一生ずっと彼と一緒にいたい。
彼の涙を見てそう思った。
婚姻届をもらった私は、その場で記入した。
記入だけして、彼の待つ車に戻った。
「お待たせ。」
私が車に乗ると、彼はエンジンをかけた。
「何の用事だったの?」
彼は私の目を見た。
「ねぇ、久保さん。」
「ん?」
久保さんが車を発進させようとした。
私はそれを止めた。
「前に久保さん、私が二年後結婚を考えるくらいあなたを愛してないって言ったよね?」
「・・・うん。」
「その質問の答え、今聞かせてあげる。」
私はさっきもらってきたばかりの婚姻届を彼に差し出した。
そして彼の目の前で印鑑を押した。