恋涙

おじいちゃんは近くにあった引き出しの中から一枚の写真を取り出して私に見せてくれた。



一人の男の子と女の子が写っている写真。



「これ、おじいちゃん?」


写っていた男の子を私が指差す。



「そうだよ。隣に写ってるのはおじいちゃんの初恋の人だ。」




「おじいちゃんの初恋の人?」



「おじいちゃんの幼なじみでな、一つ年下だったんだ。だけど体が弱い子で結核で死んでしまったんだよ。」



「おじいちゃん泣いた?」




「たくさん泣いたよ。好きだと気付いたのはその子が亡くなった後だった。」




おじいちゃんの目に涙が浮かんでいるのを私は見逃さなかった。



「後悔してるの?」



「すごく後悔したよ。だけど今はこんなかわいい孫にも恵まれたし、おじいちゃん幸せだよ。」



おじいちゃんは私の頭をなでる。



「両想いいでも片想いでも人を好きになる心があることは幸せなことなんだよ。」





こんな祖父の言葉が私の心を動かしたんだ。
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