恋涙
秋人は片手に本を持って立っていた。
「考え事。」
と私が答えると、「ふーん。」と言って私の隣に座った。
「ねぇ、本読む以外やることないわけ?」
秋人は本当に大人びた子どもだった。
「別に。で、何の考え事?」
私は無言でひざを抱えた。
「どうせ結稀兄ちゃんとケンカでもしたんだろ?」
「違うもん・・・。」
「じゃあ、樹里のことか?」
秋人はいつだって私の考えてることが分かる。
それは今でも変わらない。