恋涙
川の向こうに樹里が歩いてるのが見える。
「ちゃんと話すなら今がチャンスだぞ。」
秋人が私の背中を叩く。
秋人には昨日のことを話さなかったけど、何があったのかを知っているような気がした。
「行ってこいよ。」
秋人が今度は背中を押す。
樹里はもしかしたらそれほど気にしてないかもしれない。
積極的な子だから、もしかしたら「もう好きな人いるし!」なんて笑って話してくれるかもしれない。
自分にとって都合の良いほうに考えれば考えるほど、逆に気分は重くなっていく。
少しドキドキしながら私は樹里の方に向かった。