恋涙
四章
大切な人
二人で過ごす初めての冬も終わり、私たちはまた遠く離れた場所でお互いの生活を送っていた。
当時はまだ12、13でケータイを持ってる人は少なかったからメールなんて出来ないし、県外だから頻繁に電話も出来なかった。
連絡の手段は手紙が一番多かったかな。
結稀はいつも三行くらいしか手紙を書かなくて、よくケンカしたことを今でも覚えてる。
手紙だと話したいことも話せなくて、よくテープに自分の声を吹き込んで郵送してた。
電話代より安いし、長くお互いの声を聞けるしね。
そうやってどんどん私たちは距離を縮めていった。
そしてその年の春休み。
いつものように私は茨城に行くのを楽しみにしていた。
だけど、この時はまだあんなことになるなんて微塵も思ってなかった。