恋涙

結局、その年の春休みはすぐに宮城に帰ることになった。



それくらいおじいちゃんの容態が悪いことは幼心に感じていた。




学校が始まってからも休日に母の休みが合えばお見舞いに茨城まで行っていた。



日帰りの日もあったくらい。




もちろん結稀に会いに行く時間なんてなかった。




だけど、時々結稀は部活のない日に病院まで来てくれることもあった。




二人で病院の周りを散歩したり、それくらいしか出来なかったし、私もその時は結稀よりおじいちゃんと一緒にいたかった。












「またおじいちゃんが宮城まで迎えにきてくれるの楽しみにしてるよ。」



「大きくなって車の免許を取ったらおじいちゃんを大好きな温泉に連れていってあげるよ。」






会うたびにおじいちゃんにそんなことを言っていた。





だけど、おじいちゃんが宮城に来ることも、温泉に二人で行こうという約束も叶うことはなかったんだ。











宮城と茨城の往復生活は三か月以上も続いた。










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