恋涙
さよなら、おじいちゃん
車で約四時間、すごく長く感じた。
おじいちゃんの家に着いてすぐに和室に横たわるおじいちゃんの横で声をかけた。
「おじいちゃん。」
不思議と涙は出なかった。
きっと、もう長くないことをずっと自分の中で受け入れていたから。
突然のことであって、突然のことではない。
そんな感じ。
三か月前は車に乗って宮城まで来てくれたのに・・・今は言葉ひとつ言わずにただ眠っている。
人はこんなにあっけなく死ぬものなのかと思った。
泣きたい。
けど、泣けない。
悲しいのに泣けない。
大好きなおじいちゃんを目の前にしても泣けない。
でも、もう二度とおじいちゃんと話すことはない。