恋涙

まだ日が沈む前の一番暑い時間帯。



この公園におじいちゃんと来ることはもうないんだろうなぁって思った。





「大丈夫か?」



結稀が振り向いて私に話しかける。



「大丈夫。思ったよりね、平気みたい。泣くこともなかった。」






その言葉のあとは沈黙が続いた。



本当は大声で泣きたいくらい悲しいのに泣けないんだって、そんな気持ちを気づいてほしいと思ってた。





「絢香、忘れてもいいことと忘れなきゃいけないことは違うんだよ。」






その一言だけで今まで詰まっていた何かが取れた。








そしてとめどない涙が流れた。









そんな私の頭に結稀は手を置き、「じいちゃんいなくてもこの公園は俺達の思い出の公園なんだから。」と、ずっとそばにいてくれた。
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