恋涙

茨城に残った私は、タローと一緒にいることが多くなっていった。



おじいちゃんがいなくなってからタローも元気がなく、私もタローの隣に座ってタローの頭をなでているおじいちゃんがいないのが寂しかった。




実は私は一年前にも父方の祖父を亡くしていた。



二年連続で祖父の死を受け入れるのはやっぱり少し抵抗があったんだ。






そんな私をおばぁちゃんは気にかけて、私を呼んだ。




「絢香、お祭りお友達と行くんでしょ?」




「うーん・・どうかな。あんまり人ごみに行きたくない。」




「おばぁちゃん浴衣着せてあげるけぇ、行ってきなさい。」





おばぁちゃんの気遣いが少し嬉しくて、私はお祭りに行くことにした。





結稀は行けるか分からないけど、咲が行こうって言ってたからいっか。



家でしょんぼりしててもおばぁちゃんが心配すると思った。






私は浴衣に着替えて支度をしていた。



浴衣を着るのももう数年ぶり。




だからおばぁちゃんが新しい浴衣を着物屋さんで買ってくれたんだ。


















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