恋涙
仲直りも出来ないまま、中学に入学して初めての夏休みを迎えようとしていた。
部活はもちろん、陸上の低学年リレーで県大会に行くことになり、今年の夏は茨城には行けないと思っていた。
迎えにきてくれるおじいちゃんもいないしね。
八月に入り、県大会も終わって部活も長期休暇に入ったときだった。
母が「茨城に言ってきたら?」と言い出した。
結稀には半年以上あってないし、喧嘩をしてから連絡すら取っていなかった。
行こうか、行かないか・・・すごく迷った。
そんなとき、ケータイに電話してきたのは秋人だった。
「もしもし、秋人?どうしたの?」
「今年の夏はこっちに来ないの?」
「なんで秋人がそんなこと聞くの?」
「お前、結稀兄ちゃんと喧嘩しただろ。」
「なんで分かるの?」
「結稀兄ちゃんが川辺でぼけーっとしてるときは必ずお前と何かあったときだから。」
相変わらず淡々とした口調で話す秋人。
「とにかく日帰りでもいいからこっち来いよ。」
秋人のその言葉に私は茨城に行くことを決めた。