恋涙
茨城に来た次の日、秋人に公園に呼び出された。
公園のベンチで、秋人は本を顔に乗せて横になっていた。
私が秋人の頭を叩いて起こすと、秋人は寝むそうに上半身を起こした。
「こんなあっつい日に呼び出して何なの?」
「結稀兄ちゃんに会ったわけ?」
「関係ないでしょ、秋人には。」
「結稀兄ちゃんの気持ちも分かってやれよ。ついでに俺の気持ちも。」
「結稀はともかく、なんで秋人の気持ちまで理解しなきゃいけないのよ。」
「同じ男心だぞ。」
秋人が冗談を言って笑わせてくれるのは珍しかった。
結稀は私が辛いとき笑わせてくれる人だけど、秋人は何も言わずにただ一緒にいてくれる人だから。
秋人は今だってそう。
私が迷ってると、いつも背中を押してくれる。
こんな私の傍にいてくれる。