転入生な彼女
プロローグ
『あたし、アメリカへ留学することにしたの』
そうあたしが言うと、ベッドの上に横たわる、愛しい灰色がピクリと反応した
『アメリカ・・・へ?』
『そう、アメリカへ。・・・ダメ?』
『お前が決めたことに、反対する気はない』
『寂しくないの?』
『寂しくないわけじゃない。ただ・・・お前の夢をつぶしたくない』
うん、知ってる
彼があたしのことを、自分のことよりも優先してくれてることくらい
彼があたしを引き寄せる
あたしは彼に身体をあずける
『気をつけて行って来い』
『うん・・・』
『お前が帰ってくるのを、俺はここでいつまでも待ってる』
『当たり前・・・』
『俺には、お前だけだ』
蕩けるくらい甘い声。甘い表情
中学生とは思えないくらいの、色気があたしを痺れさせる
あたしにだけ向けられる、彼の全てが愛しい
『好き・・・大好き。アキ』
『俺もだ、ミヤ』
あたしには、アキだけ
アキだけしかいらないの・・・
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