転入生な彼女
あたしは先生が教室に入って行くのを見送ってから
辺りを見回す
廊下のずっと奥に見えたのは、“3-1”と書かれたモノ
少し歩いたらついてしまう
そんな場所に今、彼がいる
ウズウズと身体が反応する
すぐ近くにいるとわかってる、大切な存在
今すぐに彼の傍にいって
彼の名前を彼の前で呟いて
彼の腕に抱きしめられたい
そんな感情があたしの中を渦巻く
でも、今はまだ我慢しなくちゃいけないから
楽しみは後にとっておくことにする
「アキ・・・」
彼が近くにいるとわかってる、この場所で
呟いた彼の名前は
自分の声とは思えないほどに
甘く、歓喜に溢れていた
彼を思うと、頬が自然と緩む
「入れー」
先生の声にあたしは、顔を引き締める
扉に手をかけると、3-1の教室から人が出てくるのが見えた
出てきた彼の髪は灰色で
だから、急いであたしは教室に入った
あたしの頬は、また緩んだけれど