時を駆けた夏 ~また、君に恋をする~
「ごめん、葉月~…。私、教室に水筒忘れたみたいだから、ちょっと取ってくるね」
「え、水筒? わかった。じゃあ、先行ってるね」
「うん、ごめんね!」
夏だしなぁ…、取りに行かないと腐っちゃうよね。
そう思いながら少しため息をついて、来た道を戻り始める。
走ると、生温い風が頬をかすめた。
そろそろ鬱陶しかった梅雨も終わる頃だな、と心の中で呟きながら、学校までの歩道を駆けた。