時を駆けた夏 ~また、君に恋をする~
ドタドタと階段を駆け下りると、キッチンに向かう。
途中、玄関で靴を履く弟と目が合うと、あからさまに迷惑そうな顔をされた。
「ねーちゃん、うるさい。もーちょっと静かに下りろよ」
「うっさいわね、急いでんの!」
「あっそ。じゃ、俺はもう行くから。行ってきまーす」
フッと馬鹿にしたような笑みを残し、家を出て行った弟に心の中でムカつく、と思いながらキッチンの扉を開ける。
弟…海。あいつ、小6だし、反抗期なんじゃねーの、なんて思いながら、コップに注いだ牛乳を一気に飲みほすと、まとめて皿の上に置いてある菓子パンの一つを口にくわえた。