月夜
あめんぼの男の子
夜、
公園のお池の上に住んでいる、

あめんぼの男の子は
眠れなくなるといつも、
この明るい光のそばまで、滑っていきます。

夜になると、お池の上の水草なんて、
見えなくなるくらい、
真っ暗なのだけど、
あめんぼの男の子のほかは、
みんな眠っているのだけど、

お池のちょうどまんなかだけ、
そこだけ、
まあるい光の輪。
水面に映し出される光の輪。

男の子の脚でつくる波紋も、
その光に触れると、
キラキラ輝いて、
ちいさな円をつくります。

「うれしい。夜は、真っ暗なのだけじゃないんだ」
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