「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「私ね、さっきも言ったけどね。お金持ちなの。
昔から、忙しくて両親は私に構ってくれなかった。
お金だけもらって。好きなモノ買えって、おもちゃだけもらえて。
だから、友達よりもたくさんのおもちゃを持ってたの」
愛は幼い頃の思い出を、淡々と俺に教えてくれた。
「そのおもちゃを友達にあげたら、友達がたくさん出来たんだ。
でもね、陰で“おもちゃをくれる使える奴”って言ってたのを聞いて。
それから、おもちゃをあげなくなったの」
「……」
「中学生になって、オシャレが好きになって。
美容にお金をかけるようになったら、自然と男の子に告白されたの。
たくさんの人と付き合った。だけど、誰も私の中身は見てくれなかった」
愛は苦しそうに顔を歪めながら話す。
それに俺は言葉も出さず、耳を傾ける。
「付き合って、別れてを繰り返して行く内に、好きなのかどうかがわからなくなった」
「………」
「千里?好き、って何だろうね」
「………」
俺は愛の問いに。
残念ながら、眉を情けなく下げて微笑むしか出来ない。
実際、一番わかっていないのは俺なのだから。
昔から、忙しくて両親は私に構ってくれなかった。
お金だけもらって。好きなモノ買えって、おもちゃだけもらえて。
だから、友達よりもたくさんのおもちゃを持ってたの」
愛は幼い頃の思い出を、淡々と俺に教えてくれた。
「そのおもちゃを友達にあげたら、友達がたくさん出来たんだ。
でもね、陰で“おもちゃをくれる使える奴”って言ってたのを聞いて。
それから、おもちゃをあげなくなったの」
「……」
「中学生になって、オシャレが好きになって。
美容にお金をかけるようになったら、自然と男の子に告白されたの。
たくさんの人と付き合った。だけど、誰も私の中身は見てくれなかった」
愛は苦しそうに顔を歪めながら話す。
それに俺は言葉も出さず、耳を傾ける。
「付き合って、別れてを繰り返して行く内に、好きなのかどうかがわからなくなった」
「………」
「千里?好き、って何だろうね」
「………」
俺は愛の問いに。
残念ながら、眉を情けなく下げて微笑むしか出来ない。
実際、一番わかっていないのは俺なのだから。