「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「なんてね。嘘々」

愛はあははって渇いた笑い声を出すと、俺を見る。


「千里にそーいうの、期待してないって」

「………」

「それでいいんだよ。
私はそんな千里がいいんだから」

「………」

「言ったでしょ、私の理想は“自然体”の彼氏」

「あ」


愛の理想、それは“自然体”の彼氏。

きっと、愛は。


自分を作って、偽る人が嫌いなんだ。
本音を隠されて、接し続けられた愛は…そんな人を酷く嫌ってるんだ。



でないと、理想の相手にそんな事出てくるわけない。


「千里、じゃあさ、今日は私の買い物ついてきてね?」

「買い物なんていつもの事じゃん」

「いーの、それでも」

「わかった」

「じゃ、シャワー浴びてくる」

そう言うと、愛は下着姿のまま立ち上がり、浴室へと向かった。
俺は濡れた髪の毛をドライヤーで乾かすと洋服を着た。
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