「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
「でーきた!」

愛は満足した仕上がりになったのか、笑顔でそう言った。

体のラインがくっきり出るワンピース。
それを細ベルトで締めている。
少し胸元が開いてるのも、なんとも愛らしい。

アシンメトリーになっている裾からスラっと愛の細い足が伸びる。


「行こうか、千里」

「ああ」


ポーチに近い小さなバッグを手に取ると、愛は玄関に向かってパンプスを履いた。
バッグを置いて行く、と言う事はまた今日もこの部屋に戻ってくるのだろう。


一つ、息をついてから俺も玄関に向かって靴を履いた。



“溜息は幸せ逃がしちゃうんだよ?”









もう。
とっくに逃がしているような気がした。

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