「愛」 -レンタル彼氏-【完結】
何分経ったかはわからない。
暫くしてから、俺の元へ医師が訪れた。


病室に呼ばれて、話を聞くと原因はストレスと労働し過ぎによる過労だった。
無理をしていた体に、追い打ちをかけたのが…。
俺の、家出だった。


それで、俺は心底後悔した。
家出なんてしなければ。
意地張らなければ。

…もう、我儘なんて言わない。


貧乏だろうと、欲しいゲームを買ってもらえなくたって。
何も言わない。


この体が壊れてもいい。
俺が母親を守ろう。

たった、一人の唯一無二の母親を。


それから。
俺は進学せず、働く事を決めた。


そこで、俺の人生は半ば決まってしまったかの様に思える。


でも、それでもよかったんだ。


俺がくるみの事を思い出したのは、それから一ヶ月も経った後の事だった。
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